日本国際保健医療学会 学生部会
国際保健とは

日本における保健医療協力の流れ

日本の保健医療協力の流れを見てみると、70〜80年代はガーナの野口記念医学研究所などに代表される研究協力、日本の先進技術を伝える技術移転、そして無償資金協力による病院建設が中心だった。しかし、1978年以降、世界はプライマリーヘルスケアに注目し始めた。保健の財政資源の大半が都会の大病院に注がれていた状況が見直され始め、住民への保健医療サービスが国際保健の潮流となり、その後の母子保健や感染症の根絶といった対策が取られるようになった。

その時期に一致して、日本の国際保健の歴史上の大きな事件がおこる。1979年のカンボジア難民援助である。この事件は、私たちに、それまで別世界の遠いアフリカで起こっていた難民の事が、国際保健というものが、他人事ではない、自分たちの問題である事を始めて感じさせてくれたのである。このカンボジア難民医療援助が、政府として始めて本格的に国際医療協力を実施した最初の例であり、このタイのカンボジア難民キャンプへの医療協力に参加したのべ400名を越える医療者がその後の日本の保健医療協力を造ってきたとも言える。NGOを含め、多くの組織も生まれた。それまで、日本の医療が常識であると思っていた日本の医療者達に、それまで知らなかった国際保健の世界を開いたわけである。


国際保健医療学とは

  国際保健医療学とは「国や地域での健康の水準や、保健医療サービスの状況を示す指標として何が適切であるかを明らかにし、国や地域間に見られる健康の水準や保健医療サービスの格差がどの程度超えたら、受け入れがたい格差であり、その是正が必要と思われるかを明らかにし、そのような格差を生じた原因を解明し、格差を縮小する手段を研究開発する学問。」であり、国際保健とはそれを実践していくものであるが、これらの事は具体的には何をするのであろう。




世界の保健医療状況

 毎年、下痢症330万人、エイズ320万、肺炎310万人、マラリア200万人、結核100万人、はしかで75万人、妊娠に関連して50万人が死亡している。この予防可能な、また、治療法もわかっている感染症による死亡者は、世界全体の死亡者の半分以上を占めており、これらの95%が開発途上国で起こっているといわれている。さらに、現在では、エイズ、鳥インフルエンザ等、今までのあまり関係の無かった自然環境の中から、脅威が生まれてきており、これは、単に一カ国で解決するものではなく、世界を一つにとらえ、グローバルに解決していく必要がある。途上国や紛争地において簡単に失われている命や健康を守るためには何をするべきであろう。

カンボジアで、エチオピアで、イラクで、われわれが見たものはなんであろうか。途上国や紛争地で生まれてくる子どもは自分の生まれるところを選ぶことはできない。われわれ多くの日本人にとって想像も出来ない世界でも子どもが生まれ、育っていく。内戦が続く国で生まれれば、その中で生きていくしかなく、兵士となるしかない。食べ物の本当に無い旱魃の地域で生まれれば、その中で死んでいくしかない。そして、この世界における不公平な格差を知ってしまったわれわれには、すべきことがあるのではないだろうか。それが国際保健の世界であろう。


国際保健が目指すもの

さて、ヒト、モノ、カネが十分でない開発途上国に対して、何ができるかも大きな課題である。単なる医療や看護などの技術的なことを教えても、それに必要な環境が整っていないことには、使えない。マラリアの診断の仕方、治療の仕方を知っていても、そこに薬がなければ、何もできないのである。さらに、そこにたどり着けない、医療などというものに触れることのできない人々に対してどうしたらよいのであろうか。そういった意味で、国際保健は専門家が出かけて言って診療活動をしたり、単なる技術移転をするのではなく、これらを達成できるような、またそれらの医療を必要な住民に届けられるような手段、方法をみつけ、そのシステムを作っていくことがより大切になってくる。また、これらのシステムも外からの人間が作れるわけではない。良い価値観をもち、その国、地域のことを最もよく知っているその国の人が主体になることが大切である、かれらと共に知恵を出し合い、本当に良い仕組みをつくっていくことが正しい。

国際保健を目指し、海外の医療現場に行くと多くの事がわかる。日本と違うこんな世界があるのか、何とかこのような事態を改善するために働きたい。国際保健・国際保健医療協力のとっかかりは、意外と簡単であり、そして、多くの人がそのために、仕事をしたいと思う。しかしながら、これらを解決することは大変である。単に恵まれない、差別され、貧しい人を助けるという延長線上にある国際保健の世界であるが、疾患の原因である細菌やウイルスが予防策ができれば、解決するというような医療だけで解決するという単純なものではなく、その学問的な深さは底知れない。医療だけの問題ではなく、物事をマネージメントすることや社会性が求められる。





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